【完】すき、好き、大スキ。



「すみませーん、予約していた大石ですけどケーキ出来てますか?」



誕生日当日、
学校帰りに駅前の美味しいって評判のケーキ屋さんへ入ったあたしは上機嫌。



「はい、こちらで宜しいですか? メッセージは“梢、お誕生日おめでとう”ですよね?」

「はいっ! それです」



小さいホールケーキに、
赤い苺がのって、
ピンクのチョコレートで書かれたメッセージ。


にっこりと笑って、それを受け取った。


塾の前で、いつもみたいに手摺りに座って足をプラプラなんてさせない。

だってケーキ崩れちゃうもんね。

大きな鞄に入ったケーキの箱をチラチラと見ながら。


ヤバイ、顔がニヤケる。


何度も開いては閉じる携帯で時間を確認して。

いまか、いまかと塾の扉を見つめた。


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