【完】すき、好き、大スキ。



公園に着いて、
ベンチに座ったあたしはケーキの箱を取り出した。


そして期待を裏切らないのは、
あたしのお約束なのかもしれない……。



「いやー、偏ってるー」



箱の中を覗くと、
ケーキが右に寄っていて
右側の生クリームが箱に
ベッタリとついていた。


涙目になりながら、
取り出し綺麗な左側を璃久の方へと向ける。


鼻歌まじりでローソクを刺していたら



「おい、ちょっと待て」



ベンチの前でしゃがみ込んでいた、
あたしの頭上に降ってきた声。



「ん? なーに?」



顔をあげ、笑って聞き返すと



「それ、自分で買ったんか?」

「ケーキ? うん、そうだよ?」



ケーキを指差す璃久に、
これまた笑って答えた。



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