【完】すき、好き、大スキ。
「何で? 急に?」
今までキラキラ輝いていた髪は、
キューテクルをなくし。
まるで海苔みたいに
真っ黒になっていた。
黒というよりも……濃い青って感じ。
「受験生やからな」
そうぶっきら棒に呟くと、
背中を向けて歩き出した璃久を追いかける。
そりゃ受験生なのは知ってるよ。
だけど、今染めなくてもいいんじゃん?
受験まで、まだ日あるし。
そう思っていたあたしの方へと
振り返った璃久は、心を読んだかのように
「お前、この色不自然やと思えへんか?」
「……うん」
「だからや。早めに染めといたら色落ちてくるやろ。それ見て、もう一回染め直すか様子見ってこと」
説明されて、
あたしは大きく頷いた。