【完】すき、好き、大スキ。
「璃久、ごめんー!」
ずっと謝り続けるあたしを無視して歩く璃久。
全然こっち見てくんないし。
聞いてるのか聞いてないのかも、わかんないっ。
だんだん、
何でそこまで怒るの!?
とか思ってきちゃって。
「もう! 似合ってるって言ってんだからいいじゃん!」
と、今度はあたしが怒ってしまった。
や、だって。
本当に似合ってるんだもん。
「……何で、お前が怒んねん」
そ、その通りなんだけど。
「だって……本当に似合ってるし……」
「し?」
「璃久は黒髪が似合わないって言われた方がいいの?」
「そうちゃうけど」
「なら、いーじゃん。前の色も、黒髪もどっちも似合ってるよ?」
「……ん」
少し恥ずかしそうに返事をした璃久は、
やっぱり可愛くて。
黒髪にしただけなのに、
璃久の中身も少し変わった気がした。
子供っぽくなったっていうか、何て言うか。