【完】すき、好き、大スキ。
取り合えず頷くと、
璃久は納得した顔をして
「で、何でそんな怒ってん?」
と、優しい声を出す。
「えっ……」
あたしは掠れた声が出た。
そして、その優しい声に胸がキュンと鳴る。
「いまいち、ようわからんねんけど」
そう言う璃久の顔は
不思議なものでも見るような感じで。
「お前のキレるポイントって変やよな」
そうクスッと笑った。
その声に、笑顔に。
あたしの頭の中にあった色んな物が全部飛んで行って。
空っぽの頭の中に浮かんだのは
“すき”
その言葉だけ。