【完】すき、好き、大スキ。



取り合えず頷くと、
璃久は納得した顔をして



「で、何でそんな怒ってん?」



と、優しい声を出す。



「えっ……」



あたしは掠れた声が出た。

そして、その優しい声に胸がキュンと鳴る。



「いまいち、ようわからんねんけど」



そう言う璃久の顔は
不思議なものでも見るような感じで。



「お前のキレるポイントって変やよな」



そうクスッと笑った。



その声に、笑顔に。

あたしの頭の中にあった色んな物が全部飛んで行って。



空っぽの頭の中に浮かんだのは



“すき”



その言葉だけ。





< 365 / 381 >

この作品をシェア

pagetop