【完】すき、好き、大スキ。
んー。
あー。
んー。
あっ!!!
頭を抱え考えていた、
あたしはひとつの物を思い出した。
ドタドタと走るあたしに、お母さんからの
「ちょっと煩いわよ、静かにしなさい」
って言葉に、返事はするものの
走る足は止められない。
だって、コレ!
玄関に着くと、真っ先に目に入った
透明のビニール傘。
璃久に借りた
……貰ったとも言うけど、
どっちでもいい。
コレを返しに来たって言えば、
会いに行ける。
うん、そうだよ。
ギュッと傘を胸に抱くと
「いってきまーす」
と大きな声を出して玄関から飛び出した。