【完】すき、好き、大スキ。
ちょっぴりドキドキしながらも、
塾の前で待つあたし。
だけど右手には、この傘がある。
だから……大丈夫だよ、ね。
透明の傘を見下ろし、
いつもはプラス思考のあたしも自分自身に気合を入れてみる。
ガヤガヤとし出した塾前に、
璃久の姿を探すと
今日も、あの女の子と居た。
あの子、頭良いんだろな。
だから璃久の隣に並んでも
不自然じゃないんだろな。
歳だって、見た目だって。
あたしより数段も合ってる。
また凹みそうになった、
あたしは傘をギュッと握ると真っ直ぐに顔をあげた。
すると、女の子があたしを指差し璃久に何か伝えるのが目に入った。
ゆっくりと
こちらを見た璃久は
一瞬驚いた顔を見せると
女の子に何か言って、
あたしの方へと歩いて来たんだ。