【完】すき、好き、大スキ。
や、いつも通りなのかもしれないけど、
凹んでるあたしには、もっと冷たく聞こえて。
やっぱり来ない方がよかったのかな。
とか思ってしまう。
差し出した傘は、
あたしと璃久の間に浮いたまま。
だけど
この傘の持ち主は受け取ってくれないまま、
あたしに背中を向けて歩き出してしまった。
そのまま呆然と背中を見つめる事しか出来ないあたしに
数歩進んだ璃久が顔を少し横に向け
「言い過ぎて悪かった」
そうボソッと呟いた。
「え?」
その言葉に
目を見開いたあたしを置いて璃久は歩き出す。
「り、璃久!?」
慌てて隣に並んだあたしが璃久の顔を覗き込むと
「ウザイ事には変わりないからなっ」
なんて、ぶっきら棒に言ったけど。