強い女はいつだって…

｢あーもう、何で着いてくんの!?｣
あたしは本当についてない。なぜ路地裏に向かって逃げてしまったんだ！
｢やっと追いついたな。｣
息を切らした黒ずくめみたいな集団が真後ろに来てしまった。どうする…、こんなか弱いあたしにこの場から逃げ切れるの？
その瞬間、あたしの後頭部に激しい痛みを感じた。あたし、きっと殴られたんだ。
｢先程の記憶、全て消してあげますよ。｣
てゆーか、女を殴るなんて最低。
｢くくっ…、な!?｣
あたしを殴った男の人があたしに手を差し延べた。けどそれは、あたしの手で速度が止まった。自分の意志で止めた？
｢ぐぁ！｣
思い切り手首を曲げる。どうして、こんなにもわくわくしているの？
｢あたしに触んな。｣
思いも寄らない言葉があたしの喉から、体が動き始めてる。もっと傷付けたいという感情が芽生えてる。
｢や、やれぇ！｣
あたしは、この瞬間初めて自分が普通ではないと自覚できた。気付けばあたしに攻撃してくる人は居なくなった。というか、血塗れな地面の上に立っているし。
あたし、普通じゃないんだ。
今までのシーンを思い出してみる。思い出せば思い出す程カタカタと肩が震える。同時にうずうずしてくる、何かが私の血管を熱くさせる。
｢ぐ、うぉらあ！｣
《バキッ》
ああ、人を殺めることがこんなにも楽しいなんて…、生まれて初めて暴力という快感を味わった。