ラグタイム
あたしは彼らに気づかれないように、急いでこの場から離れた。

駆け込むように更衣室に入ると、
「おおっ、わっ!?」

上半身裸の武人に出会ってしまった。

「わわわっ!?」

あちゃー!

タイミングもタイミングだけど、まさかの着替え中に遭遇してしまうとは!

あたしはプイッと目をそらすように、武人に背中を向けた。

意外と筋肉質な肉体が目の裏側に浮かんでくる…なんてアホなことを今は言っている場合ではない。

「って、何も背中を向けることはないだろう」

武人が訳がわからないと言うように言った。

「えっ?」

そう思ってあたしが振り返ると、上半身裸だった武人はすでにコック服に身を包んでいた。
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