ラグタイム
俺は夕貴を見つめ返すと、
「とりあえず、今は1日でも早く朝貴が見つかることを祈ろう」
と、言った。

「俺たちが今できることはそれだけなんだから」

そう言った俺に、
「うん…」

夕貴は首を縦に振ってうなずいた。

「よし、今のところバレていないのは翼だけだな」

そう言った俺に、
「藤本さんと黒崎さんもだよ。

俺が影で彼らの会話を聞いていたことなんて知らないよ」

夕貴が言った。

「そうだな。

じゃあ、これは俺たちだけの秘密だな」

俺は人差し指を自分の唇に当てた。

夕貴は少し驚いた顔をすると、
「うん」

笑いながら首を縦に振ってうなずいた。
< 131 / 340 >

この作品をシェア

pagetop