ラグタイム
「お前に朝貴の代わりとして、俺の店で働いて欲しい」

藤本さんの唇が動いたと思ったら、そんなことを言った。

…嫌な予感、的中。

あたしの予感って、よく当たるんだよね…。

しかも当たって欲しくない時に限って当たるから皮肉なものである。

「い、いや…。

そっちで人手を募集すればいいだけの話じゃないんですか？

あたしも働いている身ですし…」

そう言ったあたしに、
「バイトだろ？

朝貴がよく愚痴ってたぞ。

“妹が２５になってもバイトしてるから、そろそろ就職して欲しい”って」

藤本さんが言い返した。

「それはいい案配だと思います。

朝貴目当てでやってくるお客さんがいますから、夕貴さんが彼の代わりに『ラグタイム』で働くと言うのはいい提案です」

黒崎さんが同意するように言った。
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