ラグタイム
そうだ。

あたし、肝心なことを忘れていたじゃないの。

今のあたしは女じゃなくて男なんだ。

武人からして見たら男2人が車に乗っていると言う状況だ。

何だもう。

ペチリと額をたたいたあたしに、
「蚊がいたか?」

武人が不思議そうに聞いてきたので、
「えっ…ああ、うん」

あたしは慌てて首を縦に振ってうなずいた。


坂道を少しのぼった後、頂上のところで車を駐車した。

「ついたぞ」

武人に言われ、あたしは車を降りた。

「わあっ…!」
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