ラグタイム
話を切りあげたあたしは黙って天の川を見つめた。

「兄貴も天の川を見てるのかな…」

あたしの呟いた声が聞こえたのか、
「かもな」

武人が答えた。

あたしは天の川から武人に視線を向けた。

武人の視線は天の川に向けられたままだった。

「双子って、シンクロ現象みたいなのがあるんだろ?

たぶん、朝貴も夕貴と同じように天の川を見ているんじゃないかな」

そう言った武人に、
「そっか」

あたしは呟くように返事をした後、また天の川に視線を向けた。

励ましなのか、はたまた同情なのか。

どちらなのかはよくわからないけど、あたしには充分だった。
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