ラグタイム
ひーっ、この人絶対ヤクザの若頭が似合ってるよ…。

『ラグタイム』の経営者なんて絶対ウソだよ…。

って言うか、
「絶対にそっちで働かないといけないんですか?」

あたしは聞いた。

「当然だ。

お前には朝貴と同じホールスタッフ――まあ、ウエイターみたいなもんだ――で、働いてもらう。

料理を運んだり、客からオーダーを取ったりするだけだ。

接客くらい、お前もできるだろ?」

藤本さんのにらんでいる目は少しも変化しない。

「で、できるも何も、飲食店で働いたこと自体ないのに…」

そう言ったあたしに、
「1からたたき込んでやるから大丈夫だ。

清潔感や身だしなみに気をつけて、常にニコニコと笑っていればいいだけだ」

藤本さんが言った。
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