ラグタイム
「藤本さんを誘ってみるか」

この前の休日を奪った償いをしてくれるって言っているんだ。

明日の朝か営業が終わった後に声をかけてみよう。

そう思ったあたしはペアチケットを封筒の中に入れると、バスルームへと足を向かわせた。


翌日。

「おはようございまーす」

あたしはいつもように『ラグタイム』に顔を出した。

「ああ、おはよう」

更衣室から髪をくくりながら武人が出てきた。

「武人、藤本さんきてる?」

そう聞いたあたしに、
「…いや、まだきてないけど、大輔さんに何か用か?」

武人は首を傾げた。
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