ラグタイム
博物館から出てきた時、藤本さんはグッタリとしていた。

「大丈夫ですか?

何か飲み物買ってきましょうか?」

そう聞いたあたしに、
「心配するな。

少し椅子に座ってもいいか?」

藤本さんはベンチを指差した。

「いいですよ」

そう言ったあたしに、藤本さんはベンチに歩み寄ると腰を下ろした。

あたしも彼の隣に腰を下ろした。

「やれやれ、いつの時代も女は怖いんだな」

藤本さんは息を吐いた。

「話の中だけじゃないですか。

それに、世の中の女の人全てが怖いって言ってたら生きていけませんよ?」
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