ラグタイム
「翼には、言っていません。

あたしから話を聞いた武人が、このことは秘密にした方がいいと言ったので…」

そう言ったあたしに、
「そうだったのか…」

藤本さんは呟くように返事をした。

「あの、兄貴はクビになってしまうんですか…?」

続けて聞いたあたしに、
「それに関しては、俺も考えたい」

藤本さんが呟くように答えた。

「お前も、もう帰れ」

そう言った藤本さんに、
「はい…」

あたしは首を縦に振ってうなずいて、その場から立ち去ることしかできなかった。
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