ラグタイム
「何だ?」

藤本さんが不思議そうに聞いてきた。

「客との恋愛禁止なのはわかりました。

同僚との恋愛に関してはどうなんでしょうか?」

そう聞いたあたしに、
「大丈夫だろ。

お前は男なんだから。

何より、朝貴の双子の弟として働く訳だから」

藤本さんが何をアホなこと言ってるんだと言うように答えた。

「あ、そうだった…」

ペチリと額をたたいたあたしに、
「お前、俺が言ったことを早速忘れてんじゃねーぞ」

藤本さんが呆れたと言うように言った。

「はい、申し訳ありませんでした」

謝ったあたしに、
「先が思いやられる…」

藤本さんは頭が痛いと言うように指でこめかみを押さえた。
< 29 / 340 >

この作品をシェア

pagetop