ラグタイム
「――静絵…」

静絵さんのお母さんは涙を流すと、名前を呼んだ。

静絵さんは兄貴のそばを離れると、お母さんのところへ歩み寄った。

「ごめんね、本当にごめんなさい…」

静絵さんのお母さんは泣きながら謝ると、静絵さんを抱きしめた。

「よかった…」

翼は小さく呟いた後、指で目頭を押さえた。

「和解ができたみたいだな」

武人も呟いた後、ホッとした顔を見せた。

静絵さんのおばあさんも泣きながら、静絵さんを抱きしめていた。

その光景に泣きそうになった時、
「朝貴」

藤本さんが兄貴の名前を呼んだ。

「はい」

返事をした兄貴に、
「本当のところを言うと、俺はお前を1発ぶん殴りたい」

藤本さんが言った。
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