ラグタイム
「兄貴…」

あたしは兄貴と目線をあわせるように床のうえに座った。

「兄貴は悪くないから…。

本当に悪くないから…」

さとすように言った後、あたしは兄貴を抱きしめた。

「だけど俺のせいでお前は…」

声を震わせながら言った兄貴に、
「あたしが謝るから、兄貴は気にしないで」

あたしはさえぎるように言った。

「夕貴、この提案をしたのは俺なんだ。

俺が武人に謝る」

藤本さんがあたしと兄貴の顔を覗き込むと、そう言った。

「今日のところはこれくらいにしよう。

お前たち、今日は悪かったな」

そう言ってあたしたちの顔を見回した藤本さんに、
「とんでもないです」

翼は首を横に振った。
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