ラグタイム
「えー、何でだよー」

口をとがらせて文句を言ったあたしに、
「夕貴」

藤本さんが名前を呼んだかと思ったら、手招きをしてきた。

あたしは藤本さんに歩み寄った。

「何ですか？」

そう聞いたあたしに、
「こうして朝貴も帰ってきたことだから、お前の就職先の話をしようと思って」
と、藤本さんが言った。

「あっ、そう言えば…」

いつだったか忘れたけど、兄貴が帰ってきた時のあたしの就職先を手配するとかって言ってたな。

「どこかにコネみたいなのがあるんですか？」

そう聞いたあたしに、
「まあな」

藤本さんは返事をした。

「それで、あたしはどこで働くんですか？」

続けて聞いたあたしに、
「それは来週の定休日にお前の家で詳しく話す」

藤本さんが答えた。
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