ラグタイム
「えーっ、今教えてくださいよー」

あたしは口をとがらせて言った。

と言うか、あたしの希望は聞いてくれないのかよ。

せめてどう言う職種がいいのかくらいのことを聞けばいいのに。

何より、次の就職先がブラック企業だった場合はどうしてくれるんだよ。

次の次も藤本さんが手配してくれるって言うの?

そう思ったあたしに、
「俺はハローワークでもなければ、就職派遣会社でもない」

藤本さんが言った。

「こう言う場合は2人でじっくりと話しあった方がいい。

その時にいろいろと聞いてやるから」

そう言った藤本さんに、
「はーい」

あたしは返事をした。

「よし、いい子だ」

藤本さんはそう言うと、あたしの頭のうえにポンと手を置いた。
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