ラグタイム
「――えっ…?」

ささやかれたあたしは、訳がわからなかった。

俺じゃダメって、何が…?

藤本さんはあたしを見つめると、
「俺、ずっと夕貴のことが好きだったんだ…」
と、言った。

「お前を1人の女の子として、ずっとずっと好きだった…」

「――藤、本さん…?」

藤本さんはまたあたしを抱きしめて、
「次の就職先のことなんだけど…」
と、耳元でささやくように言った。

あたしは藤本さんから何を言われるんだろうと、身構えた。

好きと告白した後に就職の話をするなんてデリカシーがないなと思ったのは一瞬だけ。

「俺の妻になって欲しい」
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