ラグタイム
あたしは冷蔵庫から昨日買ってきたおにぎりを出すと、藤本さんに渡した。

「えっ…おにぎりって、コンビニのことだったのか?」

藤本さんは珍しそうに包装されているおにぎりを見つめた。

「そ、そうですけど…」

珍しそうに、そのうえ驚かれた意味がよくわからない。

まさかとは思うけど、コンビニのおにぎりを食べたことがないって言う訳じゃないよね?

「お前、アホか。

俺だってコンビニのおにぎりくらい食べたことがある」

藤本さんは言い返すと、ビニールを破った。

「同じ母親の腹から生まれた双子なのに、こんなにも違うのかと思ったんだよ」

そう言って藤本さんはおにぎりを頬張った。
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