ラグタイム
「何をしてくれてるんですか、もったいない!」

あたしは食べかけのおにぎりを拾いあげると、藤本さんの手に持たせた。

「…マジか?」

恐る恐る聞いてきた藤本さんに、
「マジですよ」

あたしは答えた。

「同じ母親の腹から生まれた双子なのに、違い過ぎるにも程があるだろ…」

藤本さんはおにぎりを口に入れると、両手で頭を抱えた。

「それ以前に料理が作れない女が世の中にいてもいいのか、おい…」

若頭よ、発言に気をつけろ。

人によっては男女差別として受け止められるかも知れないぞ。

「藤本さん、お茶もう1杯飲みます?」

あたしが聞いても、藤本さんは何も答えなかった。
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