ラグタイム
「挙げ句の果てには、実家へ連れ戻すって脅されましたからね。

まあ、今はただの笑い話で済みますけどね」

笑いながら言ったあたしに、
「実家…そうだ、ご両親には朝貴が失踪したってこと言ったのか?」

藤本さんが思い出したと言うように聞いてきた。

「いや、言っていませんけど…。

兄貴が失踪したことを言ったら間違いなく倒れると思うので」

と言うか、何で今聞いてきたんだ?

そう答えたあたしに、
「そうか、ならいい」

藤本さんはホッとしたと言う顔をした。

「はあ…」

部屋の話と言い、両親の話と言い、一体何が言いたいんだ?

そう思ったあたしに、
「そうだ」

藤本さんが思い出したと言うように言った。
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