今夜、上司と恋します


『詳しい事はまた明日』

「わかりました」

『……それと』

「はい?」

『広瀬と一緒にいるのはわかってる。
……だけど、会えるなら来て欲しい。
22時まで会社にいる』

「……」

『それじゃ、広瀬にも突然悪かったと伝えてくれ』

「……わかりました。伝えておきます」



通話を終えた後、私は携帯を机に置いて広瀬を見る。
広瀬はずっと私の手を握ったまま、険しい顔をしていた。



「仕事についての電話だった。突然悪かったって広瀬に伝えてくれってさ」

「ん。そう」

「……手、離して」

「嫌だって言ったら?」



離してって言ったにも関わらず、広瀬は握る手に力を込める。
こんな時までからかってくるの?


広瀬、好きな子いるって言ってたじゃん。
その子に一途なんでしょ?


何でこんな事するの。
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