今夜、上司と恋します
信じられなかった。
だって、広瀬は女の子からモテてて。
選び放題で。
なのに、私を選ぶなんて思わないじゃない。
「言っただろ?俺の事なんて眼中にないって。
思ってもなかっただろ。俺が好きだなんて」
「……」
言葉にならなくて、私は何度も首を縦に振った。
その様子に広瀬は可笑しそうに笑う。
「ほらな。全く気付いてない」
「だって、そんな素振り見せた事ない」
「恥ずかしくて出来なかったんだよ」
「……何それ」
「こないだ結構ヒント出したと思うんだけど」
「……いや、全然気付かなかったし」
「鈍感過ぎだろ、お前」
「それで自分を好きなんじゃないかって思ったら自意識過剰でしょ」
「……はあ」
広瀬は肩を落としながら溜め息をつく。
しかめっ面してるけど、私悪くない!
悪くないからね!
だって、あんな風にババアだのなんだの悪態つかれてたら普通は恋愛対象だなんて思わないでしょ。