今夜、上司と恋します
「だからー、体だけの関係がいるんだって思ったら、許せなかったの。
俺の嫉妬。我儘」
「……」
「お願いだから、そういうの辞めて欲しい」
「……」
「誰でもいいなら、俺が相手する。付き合えとか言ってるんじゃない。
体だけがいいならそれでもいい」
「馬鹿な事言わないでよ」
「俺、本気だよ」
広瀬は一切笑ってない。
真面目な顔で私を射抜く様に見つめている。
「利用するなら、俺を利用しろよ」
何で、そんな真っ直ぐに言えるの。
俺を利用しろだなんて言えるの。
「……、無理。広瀬、ごめん」
「……」
「私、広瀬の事そんな風に見た事ない」
「そんなん知ってたよ。わかんないじゃん。
俺と一夜を共にしたら好きになるかもしれないよ」
「嫌だ。広瀬とはいい関係続けたいから」
「いい関係って何?友達でいようって事?良き同僚でいようって事?
俺が好きだって言ってるのに?」
「……っ、ごめん。そういう意味じゃ…」
広瀬ともしも、体を交えてしまったら。
何かが崩れてしまう様な気がして、踏み出す事なんて出来ない。
私、広瀬を好きなんだよ。
それは恋愛としてじゃないけど。
広瀬を失いたくなんてないんだよ。
でも、どうしたらこの気持ち伝えられる?
どうしたらいい?
わかんないよ。