今夜、上司と恋します
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「いやあ、蛍って男運本当に悪いよね」
そうやって、私の親友美沙都はミルクティーをストローで飲みながら、溜め息をつく。
「別に。佐久間さんとは付き合ってるわけじゃ…」
「付き合ってなくても、そんな都合いい女に成り下がってるって時点でダメでしょ」
「うぐ」
別に、合意の上だし?
私自身も欲求ってモノがあるし?
と、美沙都から視線を逸らしながら心の中で言い訳をした。
こうもハッキリと正論をかまされたら、ぐうの音も出ない。
会社の同僚には秘密にしてるから、美沙都ぐらいしか相談する相手がいない。
歓迎されるとは思ってなかったから、この返事は想定内だけども。
私と美沙都は中学からの付き合い。
転校生だった美沙都に最初に話しかけたのが私。
そこから私たちは社会人になっても、こうやって連絡を取り合っている。
その、美沙都が言うぐらい、私は男運が悪いのだ。