今夜、上司と恋します
それから私が会社に到着したのは、22時20分を過ぎていた。
……待ってるって言った時間から、既に20分経っている。
流石にいないよね。
会社の電気は消えていて、人が残っている気配はない。
……当たり前か。
あーあ。バカみたい。
こんなになってまで、佐久間さんに抱かれたいとか。
惨めにも程がある。
また涙がじわりと浮かんできたとこで。
「……坂本?」
後ろからそう声がかかった。
びくっと体が揺れる。
嘘でしょ。
恐る恐る後ろを振り返ると、そこに立ってたのは。
―――――佐久間さんだった。