今夜、上司と恋します


「前に男運が悪いのは坂本が優しいからだと言ったな」



“坂本は器が大きいというか、心が広いからな。
だから、それに甘えてダメ男に成り下がってしまうんだろう”



前に居酒屋で男運が悪いって事を打ち明けた時に、そう言われた。
実際、そうだって思った。


私にももっと何か出来たんじゃないかって。



「ハッキリと否定しておこう。それは坂本の所為じゃない。
男に甲斐性のない所為だ」

「……佐久間さん」

「きっと、坂本に相応しい男が現れる」

「……」



そうやって、私を見る瞳は酷く優しくて。



……涙がまた溢れた。




相応しい男が現れるなんて言わないで。



私が好きなのは、佐久間さんなんだから。




―――――――お願い、佐久間さんだけはそんな事言わないで。







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