今夜、上司と恋します
名残惜しいけど、私は佐久間さんの手をそっと離すと布団から抜け出した。
洗面所へと向かい、顔を洗う。
鏡に映った自分は酷く醜かった。
目はあり得ないぐらい腫れているし。
マスカラだって剥がれ落ちて、ボロボロだし。
ファンデも所々薄くなっていて、笑えない。
……こんな姿、普通に引くよね。
普段からメイク落としシート持ってて良かった。
突然の泊まりにも対応出来る様にってね。
全ては急な佐久間さんの誘いの為だったわけだけど。
はは。何でこれで私は好きじゃないって思い込んでたんだろうか。
カバンからメイク落としシートを取り出すと、丁寧に拭いて行く。
その時、後ろから小さく唸る声が聞こえた。
「ぅん……、ん?」
振り返ると、佐久間さんは目を開けていて、私が座ってる事に気付くと体を起こした。
「……起きてたのか」
「はい。今起きたばっかですけど」
「そうか。もう平気か?」
「はい。お騒がせしました」
「いや。…今何時だ?」
「えっと」
私は取り外した腕時計を確認する。
時間は深夜の3時を過ぎたとこ。