今夜、上司と恋します
「悪いと思ったけど、後を付けた。……ホテルに入って行って、驚いたよ」
「……」
「本当に佐久間さんだなんて思ってなかったんだ。
だから、冗談で言ってたんだ。……なのに」
「……」
「好きなんだよな?」
「……うん」
「抱かれたんだろ?」
「……」
「いいよ、正直に言って」
「……うん」
「バカだな。それじゃ辛いのはお前じゃないか。
だって、佐久間さんには好きな人いるんだろ?」
「……」
「俺、みっともないけど坂本の事好きだからさ。
正直苦しいけど。それでも、悲しんでる坂本見る方が嫌なんだよ」
「広瀬…」
優しく、しないでよ。
そっちの方が罵られるより、痛い。
「俺なら大事にするから。泣かさないから。
だから、俺の事これから考えておいて」
「……っ、ひろ、せ」
「憎まれ口の一つでも言おうと思ったけど…、ダメだな。
坂本の今の気持ち考えたら、何も言えない」
「…優しく、しないで」
「最低だって罵りたかったけど、それでも坂本は好きなんだろ?
佐久間さんの事」
「……」
「……俺の事頼れよ。それでゆっくりでいいから好きになって」