今夜、上司と恋します
「広瀬は、バカだ」
「……」
「こんな私の事、好きなんて…バカだよ」
「そうかもな」
あははって掠れた声で笑った広瀬。
折角涙引いたのに。
これじゃまた腫れるじゃないか。
「また会社でな」
「うん」
「おやすみ」
「おやすみなさい」
通話を終えた後、堪え切れなくて私は声をあげてわんわんと泣いた。
どこまでも優しい広瀬。
何でこんなに優しい人を好きになれないんだろう。
私の事を想って、行動してくれてるのに。
なのに。
頭に浮かぶのは。
どうして、佐久間さんなんだろう。