今夜、上司と恋します
すぐに電話に出た佐久間さん。
「おはようございます、坂本です」
「ああ、おはよう。どうした?」
「あの、実は…ノベルティのショッパーが納品されていなくて、今から運びたいんですが…、私だけ集合時間に間に合いそうにないです」
「今から?会社の倉庫にずっとあったのか?」
「はい」
「まさか、紐も通されてなかったんじゃないよな?」
「あ、いや、その」
「正直に言え」
「……そのまさかです」
「……バカ野郎!何ですぐに連絡をして来ない!」
「すみません…」
「それで、全て終わったのか?」
「はい、どうにか終わりました」
「わかった、ワゴンは手配しておく。すぐに向かわせるから、引き渡したら坂本は電車で来い」
「はい、わかりました」
「その電車の中で眠れるなら少しでも寝て来い」
「……は、い」
声は若干怒っていたけど、その優しさに目頭が熱くなった。