今夜、上司と恋します
それから、私は荷台にダンボールを乗せると一階まで運ぶ。
待っているとワゴンがやって来て、ダンボールを引き渡すと私は何度も頭を下げた。
その車を見送ってから、私は急いで自分の机へと戻る。
カバンカバン。
すると、そこには永戸さんがいた。
「あ、おはようございます。永戸さん」
「……おはようございます」
「やっとオープンですね」
「そうですね」
相変わらず、素っ気なくて冷たかったけど、それを気にする余裕が今の私にはない。
自分の机からカバンを見付けると、忘れ物がないかを確認する。
その時、永戸さんが私の前まで来て口を開いた。
「……今日、無事にオープンしたら私。
佐久間さんに告白します」
「……え?」
突然の事で、私は頭が回らなかった。
え?告白?
「ずっと好きで、プレスとか他の仕事も紹介されたけど、佐久間さんの下で働きたいからこの仕事に就きました。
絶対に邪魔しないで下さい」
「……邪魔なんてしないですよ。頑張って下さい」
「はい、ありがとうございます」
「……いえ」
そう言うと、永戸さんは踵を返した。
永戸さんがいなくなるまで、笑顔を張り付けていたけど。
いなくなった途端に、私の目には涙が浮かんだ。