今夜、上司と恋します
結局、私は一睡も出来ずに店舗に行く事になった。
オープンしても、私は店には立たないし、立つとしても永戸さんだ。
だから、無事にオープンさえ出来れば今日の私の役目は終わり。
それまで踏ん張らないと。
新横浜に到着すると、私は一度トイレへと向かう。
ファンデをとりあえず塗って、崩れていた箇所を直して、口紅も塗り直す。
髪の毛も手ぐしで整えて、どうにか見れる格好になったか。
さっき見た永戸さんは、髪の毛からメイクから全てが気合い入ってて凄い綺麗だった。
……私は。
隠し切れていないクマがあって。
ファンデでどうにか崩れた箇所は直せたけど。
昨日と同じ洋服だし。
カッコ悪い。情けなくて笑えて来る。
店長とかが見たらすぐにわかるだろう。
……いいや。
そんな事気にしても仕方ない。
私がミスしたのが悪いんだし。
はあっと小さく溜め息をつく。
憂鬱な気分になっていた私の携帯が震えた。
誰だろう。
そう思ってディスプレイを見ると、そこにあった名前は――――広瀬だった。