今夜、上司と恋します

「坂本が頑張ったからだ」

「はい、頑張った甲斐がありました」

「さっき、ノベルティのショッパーも到着するって電話があった。安心していい」

「……本当ですか?」

「ああ」

「よかった」

「それよりも、少しは眠れたのか?
顔色が優れないが…」

「はい、大丈夫です」

「……今日はたくさん坂本にご褒美をやらないとな」

「え?」

「佐久間課長ー!」



私が聞き返したとこに、他の従業員がやって来て別の仕事の話になり、佐久間さんはそっちに付いて行った。
……ご褒美、って言った?


どういう事だろう。



「わあ、永戸さんだ!」


私が首を捻っていると、スタッフの黄色い声が聞こえる。


「お疲れ様。オープン、忙しいから皆頑張ろうね!」

「はいっ」



永戸さんは素敵な笑顔を見せながら、皆に激励の言葉をかけている。
……本当に永戸さんって人気なんだなあ。


スタッフ皆から、羨望の眼差しを浴びていた。
まあ、でもそれもわかるよな。


顔も小さいし、髪の毛もツヤツヤであんなアレンジどうやってるんだろうって思うぐらい上手だし。
今日着てる洋服は、店頭に並んでる限定品だ。


だけど、それを一番スタッフの中で着こなしているのは永戸さんだった。


そりゃ勝てないよなあ。
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