今夜、上司と恋します
「結婚式の話はまだ後日。いーい?話戻すよ?
蛍がいいなら、いいけどさ。
そんな関係、続けてても絶対いい事なんてないよ。
もしも蛍がその課長さん好きになっちゃったらどうするの」
眉間に皺を寄せながら、そう言う美沙都に私はキョトンとする。
「私が佐久間さんを?ないないないない」
盛大に手を振って否定した。
いや、佐久間さんに恋するとかあり得ない。
そもそも、佐久間さんは好みじゃないし。
初めてした時も、ドキドキとかっていう感情は一切なかったし。
「いや、あり得ると思うんだけど」
「何でそう思うの」
「なんとなく」
「何それ。説得力無いじゃん」
「うーん。蛍って付き合ったりしてからのめり込むタイプだからさ。
体の関係持ったらそんな感情持ってもおかしくないかなって」
「今まではそうだったけど、今回は違うよ」
「そうなの?」
「うん」
不思議と、佐久間さんに対してそんな気持ちは湧いてこない。
最初がそうだったから、今もなのかも。