今夜、上司と恋します
「……坂本」
「……」
真っ直ぐに目を見て淡々と告げた私に、佐久間さんは悲しそうに微笑んだ。
そして。
「……わかった」
私を一言も責める事なく、私の言葉を受け入れた。
「もう一人で帰れそうか?」
「はい、平気です」
「そうか。坂本にもオープンの賑わい見せたかったよ。
ジュエリーボックスも30分もせずになくなった。
今日はもう上がっていいからゆっくり休んで、また来週会社でな」
「わかりました」
「……坂本、悪かったな」
「っ」
その言葉にズキンって胸が痛んだ。
佐久間さんは上着を私の手から受け取ると、「お疲れ様」それだけ言って部屋から出て行った。