今夜、上司と恋します


心臓部分が痛くて。
痛くて痛くて。


私は胸元をぎゅうっと掴む。



ここで泣くわけにはいかない。
ここはまだエスレール。


必死に涙を我慢しながら、私はカバンを持つとエスレールを後にした。



大成功を収めた日で、凄く幸せな一日の筈なのに。


本当は笑ってた筈なのに。



最低な一日になってしまった。



駅のトイレに到着すると、個室に飛び込んだ。
それから、声を押し殺して私は泣いた。



たくさん泣いた。
体中の水分が全て出てしまうんじゃないかって程に。


それでも、涙は止まらなかった。



私は暫く個室で泣いていた。
やっと泣き止んで、落ち着いた時には泣き過ぎで頭がガンガンとした。


……家に帰ろう。


ぼーっとしながら、私はそうぽつりと思った。

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