今夜、上司と恋します
「そっかあ。……で。
どうなの?」
少しだけ体を前のめりにさせると、美沙都は声を潜める。
きっと、私の頭の上にはハテナマークが数個浮かんでるだろう。
「えっと、何が?」
「いや。あれよ、あれ。あっちのテクよ」
「ああ。成程」
「だって、34でしょ?しかも顔もいいんでしょ?
女経験豊富っぽいじゃん。うまそうじゃん」
興奮して少しずつ、声量が上がってる美沙都。
「美沙都、声でかい」
「む」
焦ってそう言うと、慌てて美沙都は手で口を塞ぐ。
目では教えろって訴えている。
「……それなりに、ですよ」
「へえ」
「……」
「……」
「もう話さないからっ」
「いやいや、もっと聞きたいんですけど!!」
大っぴらに話すのは、恥ずかしくて死ぬんですけど!?
美沙都は全く以て満足してないみたいで、思いっ切り顔をしかめてこっちを見ている。