今夜、上司と恋します


『もう家行くから。決めた。んじゃ、早めに終わらせる』

「え。ちょ、ちょっと広瀬!」

『あ。家に帰ったらベッドに横になっておけよ。何もするんじゃねえぞ』

「いや、あの」

『返事は?』

「……はい、わかりました」

『よろしい。じゃあ、こっち出たら連絡するわ』

「わかった」



もう返事をする以外ない。
こうなったら何も聞いてはくれないだろう。


仕方ない。
素直に家で横になるかな。


特にお腹も空いてないし、帰路コンビニにだけ寄って栄養ドリンクを購入した。
家に着くと、私は部屋着に着替えてベッドに潜り込む。



家に着いたら、もっと大号泣すると思ってたけど。

広瀬のお陰で、泣かずに済んでいる。


少しお節介だとは思ったけど、それでも一人でいたらどこまでも落ち込みそうだったから助かった。


あの二人の並ぶ姿を、思い出したくなかったし。

それでも。


これから会社に行けばいやという程、見なくちゃならないんだ。


そう思うと、憂鬱だ。
決して佐久間さんや永戸さんが悪いわけではない。


私の気持ちの問題。
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