今夜、上司と恋します
「俺、引っかかるんだよ。佐久間さんって、セフレとか作る感じじゃなくね?」
「いやあ、まあ」
「そんな人じゃないと思うんだけどな」
「わかんないよ。魔が差したのかもしれないし。
佐久間さんだって男でしょ?」
「うーん、それを言われると、まあ、全否定は出来ないんだけど」
「だって、初めて私と佐久間さんが関係を持った日、お互いお酒入ってたしね」
「ああ、そっか」
「お酒って怖いしね」
「それは、わかる」
「広瀬、ありがとう」
「え?」
突然のお礼に、広瀬は目をぱちぱちとさせた。
間の抜けた顔が面白くて、私はクスクスと肩を揺らしながら笑う。
「私のフォローしてくれてるんでしょ」
「いや、俺は別に」
「うん。わかってる。私が勝手にそう思ってるだけだから」
「……」
照れ臭そうに広瀬は頬をぽりぽりと掻いた。
本当に広瀬は優しいな。
私を励まそうと、色々言ってくれてるのがわかる。