今夜、上司と恋します
だけど。
「私は告白はしないよ」
「……」
「永戸さんと折角付き合ったのに、それを邪魔する様な真似したくない。
佐久間さん、好きな相手は自分の事眼中にないと思ってたみたいだしね。
その気持ち、広瀬が一番わかるんじゃないかな」
「……」
「やっと付き合えたって喜んでる時にさ、広瀬はセフレに告白されて嬉しいと思う?
迷惑でしかないよね。下手したら永戸さんにバラされるかもしれないし」
「そんな事坂本はしねえじゃん」
「もちろんそんな事しないよ。でも、そう思われてもおかしくないよねって事」
そう言うと、広瀬は押し黙る。
私の告白は佐久間さんにとったら、ただの迷惑でしかない。
ただ、告白して振られるのとは違う。
自分が気持ちを告げてスッキリしたいからって、私は佐久間さんの迷惑を顧みずに伝える事なんて出来ない。
セフレという関係になってしまった私は。
告白する事さえ、許されない。
「諦めるよ。さすがにすぐにハイ!って諦める事は出来ないけど。
少しずつ…さ」
「そっか。…坂本がそう決めたのなら、もう何も言わないわ」
「うん」
「んじゃあさ、ゆっくりでいいから俺の事見てよ」
「……」
「俺、待つから」
「……ありがと、広瀬」
そう言って力なく微笑むと、広瀬も同じ様に笑った。