今夜、上司と恋します
「じゃあ、行こうー。俺、帰ってすぐに雑誌の打ち合わせだわー」
「忙しいですね。野々村さんも無理しないで下さいよ」
「うん、ありがとー。蛍ちゃん」
「お前は体調悪いぐらいが俺にはちょうどいいよ…」
広瀬は朝なのにもう既に疲れた声で、そうぼやいていた。
ああ。もう。
広瀬の気持ちがくすぐったくてしょうがない。
こんなにも広瀬は私の事を想っててくれたんだって。
ひしひしと伝わって来るよ。
広瀬の優しさが、嬉しかった。
そして、重くなった空気を察して明るくしてくれた野々村さんにも感謝しかない。
よし。今日も頑張ろう。
私の顔は自然と緩んでいた。