今夜、上司と恋します
こんなにも、

*



新店舗のオープンから、私が佐久間さんと一緒に外回りする機会はなくなった。
佐久間さんは朝から会議や、出張もあったりで忙しくしている。


朝からいなくて、定時まで帰って来ない事もしばしば。


火曜日、永戸さんは普通に出社して来たけど、私を見るとぷいっと顔を逸らされておしまい。
私も特に用事がなかったから、話しかける事もなかった。


佐久間さんの仕事が忙しいのもあって、永戸さんと二人で並ぶ姿も見ていない。


それは本当に救いだと思った。



でも、三日とすれば気分も落ち着いて来るようで、佐久間さんを好きだって気持ちももちろんあったけど二人を見ても何も思わなくなっていた。
どちらかといえば、開き直りに近い気がする。


まだ二人が並ぶ姿を見ていないからってのもあるかも。
それでも、あんなに涙を流して取り乱す程まではいかないだろう。


あそこまで泣いたのは、疲れてた事もあったんだろうなって思った。



多分、私は気付いてなかったけど…。


オープン成功させなきゃっていうのは結構なプレッシャーだった。
更に、それに畳みかけるように追い打ちをかけたのは。


“佐久間さんの足を引っ張る様な真似したら、私許さないですから”


その、永戸さんの言葉だったと思う。


別に彼女が悪いわけじゃない。
永戸さんは意地悪で言ったわけじゃないだろうし。
いや、言ったのかな。それは永戸さんに聞かないとわかんないけど。


私も思ったのは事実。
佐久間さんに迷惑はかけたくない。

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