今夜、上司と恋します
ただ、それは知らぬ内に自分に物凄いプレッシャーを与えていて、その結果限界以上の働きをしてしまったんだ。
焦ってたんだと思う。
ただでさえ、二人は両想いで。
好きだって気持ちに気付いてしまって。
色々な精神的ダメージを溜め込みながら、更には肉体的にも無理をして。
心身ともに疲労困憊状態。
一人の時にあれこれ考えた私の行き着いた先がこれ。
こんな冷静な考えを持てるまでに結構時間を要したけど。
「坂本ー」
「んー?何、広瀬」
金曜日の定時間近。
PCに向かっている私に声をかけてくるのは広瀬だ。
「明日何時がいい?」
「明日?」
「……え。まさか、忘れたとか言わせねえよ?」
思いっ切りしかめっ面でこっちを見る広瀬。
そんな広瀬にクスクスと笑う私。
「忘れましたー。お台場とか、忘れましたー」
「おま。覚えてるじゃねえかよ」
「えー?何の事ですか?わからないなあ」
とぼけた振りを続けると、広瀬は目を細めて「ふーん」と言った。